NIKKEI STEAM

STEAM COLUMN 識者・教授・教諭によるSTEAM関連コラム

2022.03.25

ICTでSTEAM教育の環境づくり支援

ICTでSTEAM教育の環境づくり支援

 当社は学校/教育機関向けSTEAM教育環境の導入推進・支援活動を強化しています。情報機器のディストリビューターとして、教育分野でも各地域でパートナー企業と協力しながら取り組みを進めてきましたが、各学校に1人1台のパソコンを配備する「GIGAスクール構想」が進むなか、次のステップとして教育現場でICT(情報通信技術)の効果的な活用が必要とされるようになってきました。

 STEAM教育でも、同じパソコンが並んでいる単なる「PC教室」ではなく、ハイパフォーマンスなパソコンなど様々な機器を活用し、アクティブ・ラーニングや教科等横断的な学習を進められる環境づくりが求められています。

 こうしたなかで、当社はインテル社が推進する「学校/教育機関向けSTEAM Labプラットフォームの実証研究」に協力しています。学校/教育機関のSTEAM教育に必要な環境整備を支援するプロジェクトで、昨年秋から実証研究校を募集し、いよいよ2022年4月から全国の小中高校、大学で実証研究が始まる予定です。

 実証研究校が数年後に目指す教育内容に沿った形で最適な機器やアプリケーションを組み合わせるため、構成は事前に相談させていただき決めています。当社はそれぞれの学校で、目的に合ったシステムやその使い方を提案し、改善要望をメーカーへフィードバックするといった支援を進めていきます。実証研究の期間は2年間ですが、そこで生まれた様々な成果や成功事例を全国に発信していくことによって、ICTを活用したSTEAM教育の普及につながれば、と思っています。

 もともとインテル社は教育プログラムに力を入れており、実証研究では、新たに教員研修プログラムやSTEAM教材を含む、Intel® Skills For Innovationフレームワークも提供する予定と聞いています。

 当社が関係するICTを使ったSTEAM教育としては、芸術分野などで3Dプリンターを使って作品を制作するといった試みも始まっています。もともと製造現場でプロが使うための機器を教育に取り入れるのがポイントです。学校視察が受け入れられるようになり、こうしたシステムを活用した取り組みが各地に広がっていくことを期待しています。

 コロナ禍によるリモート授業が増加しパソコンなどの利用機会が増えたこともあって、ここ2、3年の間に教育現場でのICTに対する認識が大きく変わってきているようです。より効果的な遠隔授業の進め方を求める声や、集計作業の効率化のために端末をもっと活用したいといった声が現場から出るようになってきています。機器の配備など環境が整備されたことで、さらにプラスアルファになることをしたいと考える教職員が増えているのではないでしょうか。

 ICTを活用した授業といえば、高いスキルを持った少数の「スーパーティーチャー」が活躍するのが常でしたが、多くの先生たちが活用に前向きになっていると感じています。こうしたニーズに応えるための支援活動をこれからも進めていきたいと思います。教育現場に私たちのような民間の者が入ってお手伝いできることがまだあるはずです。

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