STEAMを活用した探究活動で考える力を養う

本校ではSTEAM教育などを活用し、探究活動の授業に力を入れています。これまで2年生に3単位を充てており、最初に2か月ぐらいかけてSTEAMライブラリーなども利用しながら、教師が提案したテーマで、探究活動の一通りの流れを体験します。その後、グループに分かれて調べたいテーマを決めて深掘りし、半年以上かけてポスター発表を行います。22年度入学生からは1年生に1単位、2年生に2単位を割り当て、新入生から探究活動を始めるようになります。これまでより、余裕をもって活動に取り組むことができるようになると思います。
もともと本校は総合理学科の2年生が課題研究を実施していましたが、そのノウハウを活かして普通科の探究活動を実践してきました。兵庫県では「兵庫型STEAM教育」をスタートさせており、本校は協力校として、3校の指定校と連携し、STEAM教育の実践活動を進めています。本校はこれまでの探究活動やスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校として実践してきたカリキュラムがあり、その経験を生かし、この取り組みに協力しています。STEAMライブラリーを活用

探究のテーマは生徒たちが自ら選び決めるのですが、そのきっかけづくりとして昨年から経済産業省が提供するデジタル教材の「STEAMライブラリー」を活用しています。今年3月にリニューアルし、教材数が大きく拡充されました。動画や資料、ワークシートがあり、探究の方法を学ぶことができると同時に、テーマ選びのヒントにもなります。
探究活動は4~5人で手分けしながら進めていくのが効果的だと考えます。これより人数が多いと、議論や活動に加わらない生徒が出てきてしまうこともあります。担当する教師側は必ずしも専門の分野を指導することになるとは言えず、通常の授業よりは負担は大きくなりますが、探究活動の基本的な進め方を示すことは可能です。専門知識が必要な場合には、その分野をよく知る教師や、場合によっては外部の研究者、専門家に知恵を借りることで対応できます。実際、探究テーマによっては弁護士、薬剤師、大学教授、企業の研究者を特別非常勤講師として招くこともあります。

最近では大学入試も考えさせる問題が多くなってきており、探究活動は大学入試に直結していると感じています。自ら課題を設定し、その課題を解決することに取り組むことで、思考力を付けていくことができると思います。
全校での発表会が刺激に

3年前から毎年2月に、校内で一斉に探究活動の発表会を行っています。今年は約70のグループが20教室を使って発表をしました。新型コロナのまん延防止等重点措置の期間中だったため、残念ながら保護者に来てもらうことはできませんでしたが、これから探究活動を始める1年生にとってはもちろん、他のグループの取り組みを知ることは大きな刺激になると思います。
今回発表されたテーマでは、神戸市立王子動物園からパンダが中国に返還された後の取り組みについての提案をしたものや、UCCSTEAMゼミを活かして、コーヒーが人間に与える影響について調査したものや、コーヒーかすの活用法を提案したもの、環境にやさしい石けんの成分を調査したものなど、ユニークで多岐にわたった取り組みがありました。
外部での発表や中間発表などの機会に他者から質問を受けることで、生徒たちは、研究を振り返り、さらにその研究を進めて、もっとより良いものにしていこうという向上心も生まれています。このような経験が社会に出たときに役に立っていくのではないでしょうか。