データサイエンス、STEAM教育を推進
愛媛県立松山南高等学校は5期にわたるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の事業の取り組みを踏まえ、2023年度からの「先導Ⅱ期」でデータサイエンスによる課題研究の推進や、教科横断的な授業などSTEAM教育に力を入れています。データサイエンスについては愛媛大学や滋賀大学などの大学や企業とも連携しています。STEAM教育では愛媛県の「えひめ版STEAM教育研究開発事業」の実践校の指定を受け、県内にその成果を広める役割も期待されています。

普通科の課題研究にデータサイエンス
データサイエンスはSSHの4期目から取り組み始めました。統計教育に力を入れていこうという国の方針もあり、この分野に詳しい先生が中心になって進めてきました。本校では普通科の全生徒がデータサイエンスにより、課題研究に取り組んでいます。テーマはまちづくりや社会問題、スポーツ関連など様々ですが、統計処理の手法を使いこなすことで論理的で説得力のある課題解決策を提案できるようにするのが狙いです。私は理数科で課題研究を指導していたのですが、普通科にも課題研究を広げることになり、この分野にかかわるようになりました。
開始した当初は「調べ学習」の域にとどまっていましたが、次第に指導の方向性が固まってきました。今年は1年生の間にRESAS(地域経済分析システム)の使い方、グラフの読み取り方や考察の仕方をじっくり学ぶようにし、2年生から個々のテーマを設定して課題研究を進めさせる予定です。

教科横断型授業に手ごたえ
STEAM教育では教科横断型授業に取り組んでいます。3年前から1、2年生の担当教員が年1回の授業を目標に実践しています。数学の担当である私が実践してきたのは「倫理×数学 デカルトが近代哲学と近代科学に与えた影響を考える」「美術×数学 世界の『えがき方』~美術と数学」などといった授業です。「美術×数学」は放物面鏡に囲まれた中のものが空中に像として浮かび上がる現象を放物線の性質から説明したうえで、美術の教員に協力してもらい、数学と美術のかかわりを語ってもらいました。このほか22年度の教科横断型授業では「生物基礎×保健」「世界史A×物理基礎」「言語表現×音楽Ⅰ」「現代の国語×数学A」の授業など、多彩な内容の授業を実践しています。
教科横断型授業は通用の授業に比べ、内容や構成について一から考える必要があり、ペアとなる教科担当の教員との打ち合わせに時間がかかるものの、生徒の反応も良く、手ごたえを感じています。教える側にとっても良い経験になります。STEAM教育ではこのほか、レゴⓇエデュケーションSPIKE™を使ったプログラミング学習や3Dプリンターを用いた実験器具の作製にも取り組んでいます。

課題研究については様々なコンテストへの応募や発表会への参加などを促しています。生徒のモチベーションを高めることにもつながり、外部の評価を得ることで研究内容の深化にも役立ちます。3月には校内でSSHの研究成果発表も実施しています。ポスター発表とステージ発表で構成していますが、質疑応答が活発になってきました。こうした発表の機会も生徒の大きな刺激になっていると思います。