NIKKEI STEAM

STEAM COLUMN 識者・教授・教諭によるSTEAM関連コラム

2023.09.29

日経STEAM 学生取材班 ダイワボウ情報システム松本社長インタビュー

「日経STEAM2023シンポジウム」を特別協賛するダイワボウ情報システム(DIS)の松本裕之社長は、同シンポに参加した学生たちの取材に応じて、「ICTを活用した教育を通じて、世界を変えていくような人材を育てていきたい」と語った。DISは、文部科学省のGIGAスクール構想においてICTの環境整備で非常に重要な役割を果たしている。松本社長は世界で活躍する人材の育成に向けては「STEAM教育をさらに推し進められるようにお手伝いをしたい。現在の教育を否定するのではなく、『新しい教育があります』『これで子どもたちの興味関心を高めませんか』という提案をしていきたい。」と強調した。

「最近感心したのは、ある小学校の体育館での授業です。ドローンを自由に飛ばしていたと思ったら、その軌道で二等辺三角形を作っていた。算数の図形の勉強だったのです。」松本社長は取材班メンバーに対して、こう語った。STEAM教育では科学、技術、工学、芸術、数学各分野を横断する新たな取り組みとして注目されている。ITディストリビューターとして日本の学校へのSTEAM普及を後押ししている松本社長にとっても、この授業のように驚かされることも多いという。「小学校では3Dプリンターを使って、自分がデザインしたものを当たり前のように楽しく作っている。」「モノづくりが主要産業の街などではモノづくりだけでなく、モノづくりの良さをICTで発信するような若い人材を育てている。」日本の教育現場はデジタル化で大きく出遅れたとされたが、着実に様変わりしてきているようだ。

ダイワボウ情報システム(DIS)の松本裕之社長

松本社長が特に素晴らしく思っていることのひとつが小学校低学年の子供たちの生き生きとした姿だ。「小さいころから最新のテクノロジーに触れる機会が増えている。将来的にビジネスのアイデアを作る素養を養うことになります。今までにない事業の起業が活発になると良いと思う。子供たちは純粋です。一つのことができるようになれば、もっと注目されたいと率直に思う。だから、ICT機器の上達も早いのです。」これこそ令和時代の教育において重要視されるべき形であり、今後もこれが普及するようにサポートしたいという。

このために松本社長が模索しているのが、学校の先生たちとの新たな連携の形だ。「学校は本当に忙しい。部活もあるし、新しい教科も出てくる。その多忙さ故に退職される先生も出てくる。私たちはこうした先生たちに『一緒にSTEAM教育をやってみませんか』と言っています。いろいろ経験を積んで、また学校の現場に戻って頂けたらよいと思っています。」DISは全国94拠点もの営業拠点を展開、地域に密着していることが強みだ。それぞれの地域の学校の悩みを聞いて、本当に効果的な解決策を提案する。そのためにも先生たちの知識や経験を積極的に取入れることは重要と考えており、様々な形で連携できればと考えている。

松本社長は日本の教育環境の変化について、コロナへの対応も影響しているという。「コロナ禍により、リモート環境が大きく普及した。学校に行けなくても、つながることができ、先生たちとも会話ができるようになる。ICTが距離の壁をなくし、教育の地域格差が解消される可能性も出てきた。」それは学校の児童・生徒だけでなく、企業経営としても多様な働き方支援にもつながる。「育児や介護などいろいろな条件のある人たちでも、(リモートワークの普及により)会社を辞めないでキャリアを続けられる。これは素晴らしいことです。」という。

DISはすでに国内の法人向けパソコンシェアで4割近いシェアを持つ。さらに、学校向けのパソコンではそれ以上に高いシェアだという。こうした現状を踏まえ、学校での質の高い教育に貢献して、一人でも多くの若い人材を育てたいと思い描いている。今後もSTEAM教育の旗振り役を含めて、同社は日本の学校に新たな風を吹き込みそうだ。

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