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日経STEAM
2024シンポジウム

レポート 日経STEAM2024シンポ

「探究」の歩みは止めない!
~奈良市立一条高校
日経STEAMシンポを終えて

7月30日に開かれた「日経STEAMシンポジウム」(主催:日本経済新聞社大阪本社)。実際に参加した高校生や先生たちはどのような思いを抱き、シンポジウムを通じて何を感じとったか。奈良市立一条高等学校の「一条コトゼミ」は今回、ポスターセッションとデジタルアート展示&発表会という2つの難題に同一チームでのぞんだ。「これからも探究の歩みは止めない」。いまもそう意気込んでいる。(聞き手は日本経済新聞社大阪代表室 山田宏逸、上杉和也)

開催日2024年7月30日

「探究の歩みは止めない!」
(奈良・一条高校)

一条高校のチーム「一条コトゼミ」。左端が同校の佐藤隼先生

Q. 7月のシンポジウムに向けて準備は大変でしたか。

一条コトゼミ(以下、コトゼミ):わたしたちメンバー5人は、もともとは昨年の学校の「探究」の授業で知り合った面々です。出身中学校も別々、部活もばらばら。実際にシンポの日に部活の大会が重なっていたメンバーもいました。


シンポと作品づくりに向けて対面で会えないときもありました。それでもメンバーの誰かが「何か考えてきてくれへん?」と投げかけたら、LINEなどで必ず返信してくれて。会っていなくても強いつながりがある。これがうちのチームの強みなんです。

話し合って前進する

Q. 「常識を疑え!」と題した今回の高校生ポスターセッションでは、
「17歳は特別か?」をテーマに据えましたね。

コトゼミ:シンポに向けた事前ミーティングの際、ほかのチームは早くにテーマを決めていたので、正直ヤバっと。少し焦りました。それでもアイデアが浮かばなかったとき、少し行き詰っているときは、基本的にしゃべりながら案を出し合って前に進む。この点は徹底できたと思っています。


佐藤隼先生(以下、佐藤先生):私から語ってしまうとそれが「答え」になりかねない。答えなきテーマと対峙しているので、私自身はチームの中のひとりという感覚で生徒たちと接していました。


たまたま出会った5人で、それぞれキャラクターも違うけれど、よくまあ、あれだけ話せるなあと(笑)。瞬間、瞬間で何かを生み出そうというエネルギーが、時間がたつにつれて増していったように感じましたね。

Q. アドバイザーでもある京都大学の宮野公樹准教授に自ら会いに行ったそうですね。

コトゼミ:事前ミーティングの後にぜひ会いに行きたいですと直談判したら、ぜひ京大においでと。たっぷり時間をとってくれました。会って話すと「こんなオモろいオっちゃんがおるんやなあ」。そう感心しきりでした。


ポスターの内容に関しても「こうしたほうが面白いんじゃない?」「タイトルやテーマ設定にクエスチョンマーク(?)をつけたら」など、具体的なアドバイスももらいました。私たちの「推進力」になったことは間違いありません。

「一条コトゼミ」はデジタルアート展示&発表会に向けてキーホルダー()も手づくりした

Q. デジタルアート展示&発表会にも同じチームで参加してくれましたね。
「SDGsの17の目標には当てはめない」という斬新な設定と作品でした。

コトゼミ:これは……白状しますと……、SDGsの17の目標から決めなければいけないというルールを当初見落としていました(笑)。


それでもみんなで「SDGsとは何か」を含め根っこから必死に考え、紫色という設定も、ピコピコハンマーを持つというデザインも、ぜんぶ必死に考えて「あえてテーマにはめない」という選択をしたんです。


佐藤先生:学校の探究の授業でも「疑うことの大切さ」を繰り返し伝えてきました。みんなで悩んだぶん、いい題材が生まれた。それならば仮にルール違反ですよと言われたとしても、そのまま出してしまえばいい。私としてはずっとそう思っていました。

「言い切れなかった」という課題

Q. あくまでシンポジウムでの評価ですが、入賞はできませんでした。
ポスターとデジタルアート、2つの作品で届かなかった部分や課題をあげるとすれば。

コトゼミ:表彰式では「いつ呼ばれるんだろうなあ」「最後の最後で呼ばれるんだろうなあ」という気持ちでした(笑)。みんなでやりきったので悔いはありません。


ただ確かに、入賞したほかのチームと比べると、私たちの発表にはあいまいな部分が残っていた。数値でちゃんと示すことができなかった。例えばデータをもとに、こうだと言い切れない部分があった。この点は率直に課題だと考えています。

Q. これからの高校生活で「STEAM教育」や「探究」とどう向き合っていきますか。

コトゼミ:私たちの活動をみて、いいなと思ってくれる人がひとりでも増えたらいいなと思っています。探究することは面白いことなのだという架け橋になれれば。


チームでの探究もまだ続けようと思っていて、シンポジウムで発表した内容で足りなかった部分を詰めていく作業をこれからできたらなと。


ひとりの時間も好きだけれど、みんなで一緒に考える時間も大切ですよね。ほかの人がいることで見えてくる世界もある。そう思っています。


佐藤先生:日経STEAMは1学期のなかで完結するパッケージになっている点はとてもありがたいですね。


例えば生徒たちは今回、壁や垣根をぴょんと越えて、京大の宮野先生にも会いに行った。外と接する機会が増えたのは良い経験になったのではないでしょうか。シンポでの発表の場は決してゴールではない。これからも学ぶこと、探究することをぜひ続けてほしいです。

「一条コトゼミ」メンバー。チーム左から伊藤綺音さん(一条高校2年)、矢嶋千草さん(同)、玉村春奈さん(同)、弘中優さん(同)、前北めいさん(同)

「高めたスキル、深めた絆
~四天王寺高校 日経STEAMシンポを終えて」

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