データサイエンス系学部、1900人増 17大学で23年新設
データを活用し課題解決策を探る「データサイエンス」系学部の新設が相次ぐ。72年ぶりに新学部を設ける一橋大学を含め2023年春に少なくとも17大学で誕生し、全国の定員は約1900人増える見通しだ。デジタル人材の育成は海外から遅れ、30年に79万人不足すると推計される。実践力が高い人材を輩出できるか大学の指導力が問われる。
23年度にデータサイエンスや情報系学部・学科を開設するとして、少なくとも17大学が文部科学省に届け出た。情報系を含めて21年度時点では全国137大学にあり、入学定員は計約2万1600人。17大学の新設で定員は約1900人増えることになる。
中でも注目されているのは、1951年以来72年ぶりに学部を新設する一橋大だ。「ソーシャル・データサイエンス学部」(定員60人)を開設し、社会科学と融合した科目も設ける。指導教員には人工知能(AI)の専門家らを集めた。
「データサイエンス」学部は17年4月新設の滋賀大学を先駆けとして広がった。多くの大学がデータの分析手法を学ぶ統計学やプログラミング、AI技術に関連するカリキュラムを設ける。
政府の19年の試算では、企業のシステム部門やAI関連の業務にあたる人材は30年時点で最大約79万人不足する。新設を含めた専門学部にはこのうち、データを有効活用するなど高い実践力を備えた人材の養成が期待されている。文科省は文系学部でもデータサイエンスを学ぶ課程を強化し、底上げを図りたい考えだ。
データサイエンスは統計学やプログラミングを用いて多様なデータから知見を導く。IT(情報技術)化の進展に伴って社会に膨大な量のデータが蓄積されるようになり、経営判断や政策決定のために分析する技術の重要性が急速に高まっている。
(日本経済新聞電子版 2023年2月2日掲載)